2014年に完成していたにもかかわらず、内容が世界的企業の不正告発のため、制作も上映も難航していたこの作品。
名匠ダニス・タノヴィッチ監督がメガホンわ取り、第62回サン・セバスチャン国際映画祭Solidarity賞受賞、第39回トロント国際映画祭正式出品しています。
何と日本が初上映です。
マスコミもあまり告知させてくれませんT_T
HPです。汚れたミルク/あるセールスマンの告発
この映画は、実際の事件を基にしたフィクションです。
実際の事件は、ほとんど報道されていません。
大手の世界的企業が、パキスタンで粉ミルクを強引に販売したことによって、不衛生な水で作ったミルクを飲んだこどもたちがたくさん亡くなった事件。
これを基にしてますが、他のこどもの健康・生命を守ること、自分の大切な家族、自分の生活、自分の信念、何を大事にするのか、主人公が葛藤します。悩み、覚悟し、行動する勇気に、自分だったらどうしたかな、と考えさせられます。
そして、この事件はまだ解決していないそうです。
この映画の背景について、luckynowというサイトに詳細が載っています。
以下引用させていただきました。
【映画を見る前に知っておきたいこと】
デビュー作『ノー・マンズ・ランド』で脚光を浴びた監督ダニス・タノヴィッチの次の作品でありながら、製作から3年経った2017年に日本で初公開されるという事実が問題作であることを物語っている。
ボスニアの監督である彼がなぜパキスタンのこの問題を映画のテーマとして選んだのだろう。1997年に起こったこの事件は今もまだ解決されておらず、報道もされてこなかったという。あまりにも情報が少ないため、僕たちは映画で直にこの問題と向き合うことになる。
パキスタンにおける女子教育
物語のキーとなるのが、インフラの整備が遅れている政府の問題だとする企業側の主張である。決して毒入りの粉ミルクを販売していたわけではない彼らの最もらしい言い分なのかもしれない。
発展途上国であるパキスタンのインフラ整備が現在も追いついていない大きな原因の一つがテロの脅威だ。
米同時多発テロの首謀者とされるオサマ・ビンラディンがかつて潜伏していたのがパキスタン北部の都市アボタバードであり、アフガニスタンと国境を接した北西部の山岳地帯の村々は過激派組織タリバンの温床となっている。現在もテロが頻発するこの国の不安定な社会情勢は、海外企業の進出の足を鈍らせ、経済的な発展を遅らせているのだ。その結果、生活が貧しくなるほどタリバンに傾倒していく者も増えるという悪循環を生み出してしまう。
そして、タリバンが女子教育を禁止していることが映画の主題にもつながっていく。パキスタンでは文字が読めない母親が多く、粉ミルクの缶に書いてある説明を読めないことが乳幼児の死亡率に直結しているのだ。
現在はイスラム宗教施設に設置された学校など、パキスタンの女性たちが教育を受けられる機会も増えてきているという。それは先進国が必ず通ってきた女子教育の歴史でもある。
企業と国の成熟度のズレが予想だにしない問題を引き起こすのであれば、それは誰の責任でもないのかもしれない。ここで僕が企業を糾弾することはできないが、国の発展を促しながら自分たちも潤うような関係性を築くことが企業側にも求められていることは間違いない。
少なくとも、問題が発覚した時点で立ち止まることはできたはずなのだから。
現在、12歳前後まで粉ミルクが飲まれる現地の習慣に目をつけた明治や森永乳業などの日本企業が、パキスタンの粉ミルク業界にどんどん参入している。
私は母乳育児をしている人だけでなく、人工乳でこどもを育てている人への支援もしています。
その中で気付いたこと。
人工乳(ミルク)を使っている人たちの中で、知らないために先進国の日本でも安全に人工乳をあげていない人がいる現実。
適切・安全なミルクの作り方を医療者から教えてもらっていない。
販売に不都合な情報をミルクの缶に書かないメーカー。
今の技術では細菌(クロノバクター)を取りきれず無菌ではないのに、それをあえて説明しないメーカー。
こどもの健康を守る視点は、どこに行ったのでしょうね(泣)
安全な調乳(ミルクの作り方)は、過去記事に書いています。
人工乳が必要な人は必ずいるので、安全なミルク(乳児にとっては重要な食べ物)をこどもに与えるために、適切なマーケティングは必要だと考えます。
今のマーケティングについては、企業倫理はどこいった⁇と思うことが多々あります。
この映画は3/4土曜日から封切り。
東京から始まり、福岡はKBCシネマで4月からだそうです。見に行こうと思います。
コメント